例えば、「抜歯しなければいけません」と「抜歯した方が良いです」とニュアンスを変えて説明する場合が良くあります。
前者は、出来れば早急に抜歯すべきである、と言う場合。
動揺が激しく痛み腫れ咀嚼障害を起こしているとか、虫歯が進行してもう差し歯も出来ないとか、根が破折している...その他いろいろな場合があります。
後者は、二者択一なら抜歯すべきだが、直ぐでなくても良い、当面様子見しても良い、と言う場合。
親知らずの周りの歯ぐきが腫れ、その原因が親知らずの不完全な生え方の場合、ひとまず体調改善や投薬で引くので、「出来れば...」などと修飾することもあります。
問題は、前者の場合に、患者さんが「今余り痛くないのでもう少し置いておいても大丈夫ですか?」などと聞かれた場合です。
安易に「良いですよ」と答えてしまうと、患者さんは勝手に歯科医のお墨付きを貰ったと決めつけてしまうことがあるのです。
後で痛みが出たときに、「先生が大丈夫だと言ったのでそのままにしておいた」などと歯科医のせいにするのです。
抜歯しなければならないのに患者さんが受け入れにくい場合、「〇〇さんの気持ちとして決心が付かないのでしたら、〇〇さんの意思ですぐに抜かないと決めるのならそれでいいですよ。あくまで〇〇さんの意思ですよ...」と念押しします。
「でも大丈夫ですよね?」
「大丈夫ではないけど、あなたの意思で抜かないは自由ですよ」
「......」
ときに、何とか歯科医側の了解を得ようと繰り返される場合もあります。
あくまで患者さん側の意思、都合...であると、カルテにも記載して起きます。
後日、症状が出て駆け込まれたときは、こちらが正しかったことを実感して頂けるわけです。
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