よくある歯列不正、「叢生」。
乱杭歯...と言ってもいいかも。
前歯の真ん中から2本目が主に内側にずれて生えてしまう状態。
歯の幅が大きくて顎の骨の中央に並び切らずずれてしまうことによる。
その場合、矯正治療をするとすれば、私の場合はリンガルアーチを六歳臼歯を固定源にして入れてもともとの歯列の大きさが減らないようにする。そしてリンガルアーチを広げていくと、歯槽骨にも作用して歯は列に納まり並んでくる。
永久歯前歯4本が叢生になってきた場合に、乳歯の3番目の歯、乳犬歯の抜歯をしてしまう、ないし、健診などで抜歯を進める歯科医師がいる。
その時乳犬歯を抜歯すれば、確かに4本の前歯は並んでくる。
しかし、結局5〜6本の乳歯が抜けて4本の永久歯が並んだだけであり、永久歯の犬歯が生える時期に、また場所がなくなりはみ出て生えてくることになる。
それだけでなく、一旦並んだ前歯もまた押されて乱れるし、乳犬歯を早期に抜歯してしまったことで、乳臼歯そして六歳臼歯も前方に移動してくるので、抜かないで置いておいた場合よりもさらに、スペースが減ってしまうのだ。
顎がまだ成長するから大丈夫、ということではない。
昔の小児歯科で習った「連続抜去」によって並べていくのであれば、話は別だが、そこまで話していることはないと思う。
患者の親御さんが仮に矯正を考えていない、または躊躇している...とすれば、敢えて早期に抜くのは逆効果である。
乳犬歯があれば比較的楽なのに、抜かれて時間が経過してスペースロスした状態で来られると、減ったスペースを戻すのに苦労する。
矯正の知識がなかった新米のときでも、乳犬歯を抜けばよい...と思ったことは私はない。スペースが余計に減る、のは直ぐ分かることだから。
結果的に抜歯しての矯正になるとすれば、ひとまず4前歯が並んでいたほうが、写真的にもいいでないか...という考えで抜歯を勧めるのか?
批判めいたことを書きたくないが、保隙せずに抜歯は疑問符である。
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